八景原の思い出
その昔、八景原には、とっても素敵なレストラン&ホテルがありました。
八景原というのは、風車でおなじみの宮川公園から、三崎方面へちょっと行ったところです。
ここにあったのが、「レステル八景原」。
おそらく、レストランとホテルを合わせた造語でしょう。
小さくて、地味で、レトロな場所でした。
1998年取材版はこれ↓
ここは、僕の父親がとても好きだった場所で、小学生低学年の頃から、よくドライブしては、連れて行ってもらいました。
高原のペンションみたいな三角の屋根があって、「誰か中にいるの?」というような怪しい雰囲気。
でも、ドアを開けると、きちんと蝶ネクタイをしたおじさんが出てきて、父と僕をテラスに案内してくれます。
テラスの写真が残っていました。
1998年1月14日撮影。
ガラガラ、っとテラスへの扉を開けると、目の前にはどこまでも青い海が広がり、太陽がさんさんと降り注ぎ、「八景原」の断崖が見えました。
そして、僕たち親子は静かにコーヒー(小学生当時はミルクセーキとかだったような)を飲みながら、ひたすらその美しい景色を眺めていたものでした。
小学生の時からそんなところで過ごしているんですからね(笑)。
考えてみれば、僕の三浦半島好きはここから始まったのだと思います。
それからも、事あるごとに、父と僕は、時には家族みんなで、八景原にはよく行っていたものです。
そして時が経って、父が亡くなっても、僕は一人でコーヒーを飲みに行ったり、彼女を連れて行ったり。
あの場所は、本当に忘れられません。
しかし、この「レステル八景原」は、2004年に、なくなってしまいました。
あの蝶ネクタイのおじさんは、どこに行ってしまったんだろう。
閉店の直後でしょうか。
クルマで行ってみて閉まっていたのを見たときは、本当にショックでした。
僕の大切な大切な思い出が、1つ消えてしまったようで。
あれから、7年。
先日のサイクリングで通ったら、まだ、建物はありました。
閉店からだいぶ経つのに、三角屋根はまだそのままです。
できれば、1回でいいから、中に入りたいなぁ。
これからも建物を残してよ、というのはあまりにもムシのいい話です。
でも、せめて、「三浦半島へ行こう!」からは消したくない。
僕にとって、いろいろな思い出の詰まった、大切な場所だから。
サイトがリニューアルしても、この記事は、ネットの片隅にひっそりと残しておこう、と思います。